◯プラントベースの定義と魅力
プラントベースとは、植物性由来(plant based)の食べもの、およびその食べかたを言います。
植物性由来の食べものとは、野菜・果物・穀類・豆・キノコ・海藻や、それらを加工した食品・料理のこと。
いっぽうで肉・魚・卵・牛乳などは動物性の食べものに該当します。
などの健康効果も期待されています。
◯ビーガンやベジタリアンとの違い
プラントベースと関連して挙げられるのが「ビーガン」や「ベジタリアン」といった単語。
「植物性の食べものを食べる」という点では共通しているが、実はこれらは「プラントベース」とは似て非なるものです。
ビーガンやベジタリアンは、基本的に「動物性の食べものを食べない」ことが主旨になっています。
その理由は、健康的な側面や食事の好みというよりは、「地球環境を守りたい」「動物を苦しめたくない」といった信条や信念にもとづづいています。
そのため、欧米のビーガンやベジタリアンの多くは、肉や卵など動物性の食べもの自体はじつは好きでありながら、ストイックに我慢しています。
いっぽう、プラントベースは、健康的な側面や食事の好みなどにもとづき、「植物性の食べもの食べる」ことが主旨になっています。
動物性のものを食べるか食べないかについては特にこだわっていません。
要するに、
ということになるでしょう。
表面上の行動は両者とも「菜食を楽しむ」になりますが、背景にある動機が異なるのです。
◯プラントベースが求められる理由
世界的にビーガンやベジタリアンが増えていると言われていますが、おそらく最も増えてているのは、「フレクシタリアン」でしょう。
フレキシブル+ベジタリアンの略であり、日本では「ゆるベジ」などと言われます。
その名の通り、無理のない程度に植物性の食べもの中心の食事を心がけようというもの。
植物性食品を楽しんで食べるし、ときには動物性食品を食べることもあります。
プラントベースの考え方はこれに近いと言えます。
「ビーガンやベジタリアンのように厳格に菜食主義を貫くことは難しい。でも健康志向を維持したいし動物愛護の観点も持っていたい」
そんな人でもストレスフリーで食事を楽しむことができる、それが、プラントベースが求められる理由のひとつです。
〇従来のプラントベース
私たちがふだん自宅や飲食店などで食べている「果物サラダ」「キノコのスープ」「野菜の天婦羅」「ワカメと豆腐の味噌汁」「ご飯やパン」などは、当然、プラントベースです(※)。
「従来のプラントベース」と呼んで差しつかえないでしょう。
ただ、こうした従来のものをわざわざ「プラントベース」と呼ぶのは、ある意味、あたりまえ過ぎて物足りないかもしれません。
〇最先端のプラントベース
むしろ、実際に「プラントベース」という言葉でヒートアップしているのは、「代替肉」(「植物肉」「フェイクミート」などとも呼ばれます)の分野です。
ビーガンやベジタリアンには前述の通り、動物性の食べものを我慢している人が多いので、肉の代わりになる「代替肉」は歓迎されています。
「代替肉」は大豆を材料に作られることが多いですが、ほかにも、
をもとに作られるものも増えてきています。
また、代替肉を限りなく本物の肉に近づけるための科学的な研究開発も、日夜進められています。
「植物性の原材料でつくられているのに、説明がなければ肉としか思えない」そんなレベルの代替肉がすでに開発されています。
これらを「最先端のプラントベース」と呼ぶことにしましょう。
メディアなどで話題になるのはこうした「最先端のプラントベース」です。
〇第3のプラントベース
いっぽう、そのような動きに触発され、生活者のあいだでも「マッシュルームのステーキ」「蒟蒻のステーキ」「ジャックフルーツのバーベキュー」「スイカの燻製ステーキ」「バナナの花のフライ」などの料理の工夫が活発化しているようです。
「マッシュルームのステーキ」や「蒟蒻のステーキ」などは以前から見かけるものですが、「ジャックフルーツのバーベキュー」「スイカの燻製ステーキ」「バナナの花のフライ」などは、プラントベースの広がりを受けて誕生した、新しい料理といえるのではないでしょうか。
これらは、植物性の素材を肉に見立てて食べようという料理ですが、
「限りなく本物の肉に近づけようとしているわけではない」
というところがポイントになります。
ある程度、肉に見立てて料理にしようと工夫するなかで、
「肉の代わりにはならないけれども、新しい料理・新しい食べかたとしてはじゅうぶんに美味しいし、面白い」
そんな料理が生まれてきているのです。
これらも立派なプラントベースです。
「第3のプラントベース」と、ここでは名付けておきましょう。
特に日本では、前述のような「最先端のプラントベース」に対して「先を行き過ぎている」「ラボ感・人工感・化学実験感がある(=天然とは程遠い)」というイメージから抵抗があるように思われます。
しかしかといって「従来のプラントベース」では物足りません。
そこで「第3のプラントベース」のような食品や料理に、人々は価値や面白さを見出だしています。
今後さらにこの領域で新しい食べ方や食文化が生まれてくるでしょう。
〇まとめ
結局、
この3つを合わせたものが、プラントベースの全体像となります。
食肉をはじめとした動物性の食べものの課題や限界が見られている昨今において、プラントベースは世界の多くの食品会社から注目の的であり、現にさまざまな企業が参入を始めています。
今後日本でもプラントベースを謳う食品や料理が、これまで以上に、多種多様に登場する可能性が高いと考えられます。
日本人の食生活も変わっていくでしょう。
(※)もっとも、たとえばワカメと豆腐の味噌汁にカツオ出汁が入っている場合、これをプラントベースとして扱うかどうかは意見の分かれるところと思われます。
日本プラントべーズビジネス振興協議会では、以下3つのコンテンツを用意しています。
今後も成長が見込まれる「プラントベース」。
この分野(市場)について
などの情報を、検定試験という形で解説します。
「プラントベース x 地域活性」をテーマにしたガイドブックです。
(作成協力:食育総研)
形式:PDF(全29ページ)
<主な内容>
<入手方法>
https://note.com/shokuikubz/n/n2a2194508d33
1,980円(税込み)
〒102-0072
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